かねてから行ってみたかった旅館、福元屋さんです。博多から一路、大分九重町へ。山中の川沿いに建つ旅館です。全体は田舎の民家のよう。囲炉裏の間や食事処の広間があります。
部屋は特段特徴はありませんが不便もありません。なによりここへ来た目的は源泉かけ流しの洞窟風呂です。39度と低い温度なので冬には寒いのですが、逆に長湯に最適。何しろ、『半刻入らずして壁湯を語るべからず、一刻入って身体に問うべし』の看板が掲げられています。半刻(1時間)も入らずして壁湯を語るな、一刻(2時間)入って身体に聞けば良さが分かるという意味だそうです。湯治で有名だった温泉ならではです。皮膚病や火傷にも効能があって昔は湯治客が多かったそうです。
確かに長い時間入っても疲れませんし、類を見ないロケーションなので珍しさもあって飽きません。そのうえ殿方には朗報かもしれませんが混浴です。(宿拍者で希望の方には湯あみ着が貸し出されます)
なんだかパワースポットに来たような霊気を感じます。そして夏には川にせり出した別の露天風呂もあって、蛍を見ながら入浴できるそうです。
食事は山菜、川魚など地元の食材が出されます。勿論、名産の馬刺しも。メインは赤牛のステーキ。そして有名な香り米という独特の香りのする米を使ったご飯です。このお米は猪も狙っているらしく(笑)、近隣の田んぼの中で香り米の田だけがやられたそうです。だから毎晩、寒い日も雨の日も主が田んぼに火を焚きに通って猪が近づかないようにしているのだとか。このような苦労のもとに独自の食材や文化を守っておられるのですね。
家族と昔からの従業員さんだけで営まれている宿なので至れり尽くせりという訳にはいきませんが良いお湯に入ってのんびりしたい方にはかえって気も遣わずいいかもしれません。お値段も良心的です。
大分 福元屋さん
お奨め度 ☆☆☆