今日は小田原から熱海へ移動しました。久々の熱海ですが、今回の宿は星野リゾートの界熱海さんと別館のヴィラ・デル・ソルさんです。
星野リゾートは以前、星の屋軽井沢へ行きました。その折、設備の豪華さに驚くも食事処の物足りなさとすでに中国からの賑やかなお客様が増加していたのでそれ以来パスしておりました。
しかし社長のアメックス・センチュリオンカードの特典で今年から星のリゾートが半額になるとのことなので初めて界ブランドにチャレンジ!
界熱海さんは大樹に囲まれた中にたたずむ純和風の旅館です。(星のグループ入りする以前は蓬莱という老舗旅館)決して大きな宿ではありませんが急斜面に立地しているので海を間近に感じられるし、庭などの空間が贅沢にとってあるので狭いという印象はありません。
部屋も純和風の上質な設えです。広縁全体が海に面したオーシャンビューで、夏らしくよし戸がはめられています。部屋風呂は小体ながら檜風呂です。全体として部屋は奇をてらったところはなく、非常に落ち着きます。
さて大浴場ですが、これが急峻な階段の下に位置しているので(別館から言うと階段の上となります)、上り下りは厄介です。足の不自由な方や年配の方にははっきり言って向きません。
お風呂は2つありますが、相模の海に臨む「走り湯」という日本でも珍しい横穴式源泉で、日本三大古泉の一つだそうです。山中から湧き出した湯が海岸に飛ぶように走り落ちる様から 「走り湯」と呼ばれるのだそうです。
正直言って1つのお風呂は?という感じ。海を臨む遮蔽物のない露天なのですが、全体的に急ごしらえみたいな、上質感のない造りです。しかも蚊が多く、ゆっくりできませんでした。
もう1つのお風呂は小さいながらこれぞ熱海の湯という全うな造り。海を見渡す爽快感もあり、落ち着いて入浴できます。
お風呂の外には寛げるラウンジがあって、ビールを含む飲み物が無料で供されます。夏の演出か、たくさんの風鈴が吊られていました。ただこの施設もちょっと中途半端。崖の中央にあるので海と空を見渡し、景色は申し分ないのですがソファーの質感や飲み物を保管しているのが小型冷蔵庫だったりするのが興ざめ。ここはたらいに氷を入れて冷やしておくべきでしょ。風鈴もいらないのでは?ただし、夜に通りかかったとき見えた月が海に映った情景は神秘的で綺麗でした。この空間はもっと上質にして有効活用できると思います。
界の特徴としてご当地楽というのがあります。実はこれが今回、界熱海さんを選んだ目的の1つです。ご当地楽とはその土地の伝統芸能や工芸と触れる一種のイベント。ここ界熱海では芸妓さんとのお遊びが催されます。
熱海はかつて実業家などが盛大な宴会を催していた土地柄、熱海芸者といわれる接待のプロが息づく土地でもあります。その芸妓さんと気軽に接する機会があるのです。
まずは芸妓さんの舞を鑑賞。次に投扇興というお座敷遊びが催されます。これは扇子を投げて的に当てるお遊びですが、扇子の落ちた位置によって得点が決まるのが趣向です。また扇子が落ちた様によって、その状態を『花散る里』、『夕霧』など風雅に呼称するところも一興です。
社長はこれに大ハマリ。京都に帰って早速、投扇興の道具を注文しておりました。(笑)
このようなご当地楽も面白く、宿の空間の完成度もそこそこ。スタッフのサービスも問題ありません。だからあらためて他の星野リゾートにも行ってみようかなとは思います。ただある意味、星野リゾート的な部分もあって、人によっては評価も分かれるかもしれません。例えば、スタッフはみな若く、接客も好感が持てます。一方、老舗といわれる旅館の仲居さんや番頭さんがその旅館に馴染み、その旅館の一部のようになっている印象を持つことがあります。星野リゾートで働いている人は移動もあるし、いわゆる社員として働いています。だから呼ぶ時もスタッフさんというのがぴったりかな。このようなスタイルからは老舗の風格や空気感は醸成されないように思います。
そのような空気感を望まず、スタイリッシュに宿泊できて間違いのない一定レベルのサービスが提供されることを前提とすれば、全く問題はありません。しかしその場合、再訪するかと言われれば少々、心もとなくなります。だから好みの問題となるでしょう。ただ気になるのは星野リゾートが増えて有名になるにつれ、『スタイリッシュ』に泊まりたいんだろうなぁ・・・とかカップルで宿選びをするとき星野リゾート選んでおけば間違いないんだろうなぁ・・・というような客層が散見されること。賑やか中国人然り、お揃いサングラスのカップル然り。(笑)
でも、この空間と芸妓さんのご当地楽を楽しめるという点ではお奨めしておきます。
界熱海さん お奨め度 ☆☆☆