マキロンブログ

だめだめ旅館

2012.2.11  マキロンブログ 

さてさて、この欄では行ってはいけない、だめだめ旅館をご紹介します。もちろん、人により評価は様々でしょうが有名でありながら、この体たらくはどうよっていうエピソード満載です。これらはぜーんぶ実話。えぇ、えぇ自腹ですから忌憚なく書かせていただきますよ。これらの宿へ行こうとしているあなた。この話を聞いてから今一度ご検討なさったほうがいいかもよ。

“星のや・軽井沢”さん

まずは今、最もホットな“星のや”さん。メディアへの露出では群を抜いており、各雑誌もやたら取り上げたり特集したり、存在感がうなぎ上り。しかも地方の旅館をリプロデュースして再生しつつグループを拡大中。→そのリプロデュースされた地方旅館にも一言あり!

本店ともいえる星のや軽井沢。建物の完成度がかなり高いのは認めます。部屋やフロントも日本有数のしつらえかも。接客が悪いわけでもありません。では何がだめだめかというと・・・。何となく全体がイマイチとしか言いようがないのです。全てがハリボテっぽいというか、建築物にヒューマンサービスが追い付いてないというか。仏作って魂入れず・・・という言葉を思い浮かべました。

この宿の特徴の1つが食泊分離。食事は各人が自由に摂れるスタイル。軽井沢はおいしいレストランが多いので旅館の外へ行くのもいいものかも。ただ、旅館内のレストラン(嘉助)へ行くと結構な値段の割にがっかり度大。悪くはないのです。でもこの値段でこの内容はだめだめ。例によって『自遊人』ではこのレストランが腕を上げて京都の懐石にも負けなくなった云々と書かれていましたが?どこが?京都なら店さえ間違えなければ半額でもっと満足できるところがいくつもありますよ。京都人に失礼では。

それとパブリックなお風呂が施設の外にあって、結構歩いて行かなければならないのです。それもそのはず、このお風呂は一般のお客さんにも有料で開放されていて観光客が列をなしてお目見え。お風呂自体も全く特徴なく、スーパー銭湯?

有名になると様々なお客様が来るようになります。日本を抜いて今や世界第2位のGDPを誇るかの国の方々も多くて、いろいろなカルチャーショックが。皆さんは基本大勢で行動されます。食事処でも深夜の庭でも。まあ、賑やかなこと。何しろ、お金はたくさん持ってらっしゃるので旅館に来て楽しいかなというようなお子ちゃまも連れてらっしゃいます。

ついでに最近、星のやグループに入られた“界出雲”さん。従来からある旅館が“界”ブランドでリプロデュースされているのですが、いかんせん中途半端。玉造という温泉ブランドだけでは今や成り立たないのは周りを見れば分かります。団体客が減って個人客をターゲットにしようにもノウハウがない。そこで現れたのが星のやグループ。

でもね、上辺だけ変えてもお里は知れるのよね。だって、旅館で大事な要素はいろいろあって、建物や料理も大事だけど、それを生かすも殺すも人次第。

こちらの宿ではチェックインの時に今日は混んでいますので、もしよろしければお食事は遅い目にしていただけますかと打診されました。別に遅くても不都合はなかったので了承しました。

さて時間になって食事処へ行くと・・・。誰も出てきません。案内なし?仕方なく勝手に座って、様子を見ているとスタッフさんは慌ただしく配膳されていました。急に休んだスタッフがいたのか、人数が足りていなかったのね。

予想通り、食事のサーブも乱れがち。ワインのコースターは汚れているし、最後のご飯の器は温められていないし・・・。忙しそうなスタッフを見ていると指摘するのも可哀そうで後で責任者の方にお伝えしておきました。

地方の旅館が不振なのは分かります。でも安易に星のやブランドにしたからと言って薔薇色の未来が広がるわけはありません。どうか今、悩んでいらっしゃる旅館経営者の方がいたら再考なさってください。本物のサービス無くして再生無しですよ。本家本元が試行錯誤中なのですから。

あさばさんがフランチャイズのような、のれん分けするでしょうか。五足のくつさんが天草とは別の場所にあったら成立するでしょうか。一般的に言って高額な宿泊料を設定されるなら本物を目指してほしいです。

“星のや”およびそのグループ 行ってはだめだめ度 ☆☆☆

お金がたくさんあって軽井沢で豪華に過ごしたい方、食事にこだわらない方には良いかも。

“月のうさぎ”さん

こちらも予約が取れないことで有名なお宿。今はどうでしょう。こちらの宿は私にとって、いろんな意味で気になる宿でした。というのは例によって“自遊人”誌でかつてこき下ろしていた宿だったのですが最近の号ではお奨めの宿になっていたのです。あまりに腑に落ちないので遂に自遊人編集長さんに直筆でその旨を尋ねてみました。

解答は経営者も変わって現在は再生したとのこと。

確かめてみるべく、予約を取りました。平日だったせいか案外、簡単に予約が取れましたがリーマンショック以降どこの宿も以前ほど稼働率は良くないのかも。

食事は伊勢海老、牛肉、アワビ、松茸・・・。考えられる限りの高級食材を出せばいいのか?私にはしっくりきませんでした。

部屋はもちろん全室露天風呂つき。海が見渡せます。あぁ、これも何だかしっくり来ません。つまりこの宿のコンセプトは分かり易さなのです。高級食材に部屋付き露天風呂・・・これは分かり易い。温泉に来ていいもの食べて露天風呂に入れば、ある意味幸せかも。しかーし!いくら高級食材でも科学調味料で味付けしたり、ただ素材を並べられても、あまり食事を楽しむことはできないのです。

露天風呂だって、取ってつけたような設備では何故それがあるのか判りかねて。要は高級温泉に来たら高そうな食材出してもらって、露天風呂入って・・・という分かり易いサービスを求める人には打ってつけ!

“月のうさぎ”さん 行ってはだめだめ度☆☆☆☆

区画整理などで突然現金が入って、思わず派手な車を買ってしまい、分かり易い宿をお探しの方にお奨め。

“あらや滔々庵”さん

加賀、山代温泉の名宿。最初に申し上げますが、こちらの宿は全く悪いところはありません。名宿の名に違わぬ良い宿です。しかーし、私に言わせると可もなく不可もなく・・・という印象で、名宿たるもの強烈な個性を主張してほしいのです。

パブリックの露天風呂は湯量も泉質も申し分なし。趣向を凝らしたモダンな浴室もあります。でも浴室に蜂の巣があって、少し怖かったです。

お料理も名宿の風格。しかし接客してくれる方が地味すぎて食事の楽しみを引き出してくれません。パートさん?と思うほど、まさに可もなく不可もなく・・・を地でいく方。70歳を過ぎた年配の方には向いているかも。

結局、こちらの宿の特徴は?と聞かれると何もないのです。近くにあるべにや無可有さんだと、いろんな意味で様々な見解を述べることができます。そのような個性が欲しかったなと思います。

“あらや滔々庵”さん  行ってはだめだめ度☆

決して良くないお宿ではありません。宿に刺激を求めない年齢になったら是非。